フェードル

第29回公演 レパートリー作品

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作:ジャン・ラシーヌ 演出: ペーター・ゲスナー
訳:伊吹武彦(「ラシーヌ戯曲全集Ⅱ」人文書院版より)
上演日程: 2018年10月11日~2019年2月23日 計20回
※期間中、主に週末土日のみのロングラン公演
会場:東京アートミュージアム TAM(東京都)

cast: 後藤まなみ、松尾容子、荒牧大道、
(以下サルメ・カンパニー)石川湖太朗、西村優子、遠藤広太、小黒沙耶

staff: TAM建築/安藤忠雄 ボイスコーチ/池内美奈子、衣装/吉原顕乃、舞台監督/荒牧大道、ドラマトゥルク/藤澤友、イラスト/内田春菊、宣伝美術/郡司竜彦、映像記録/川本啓 舞台設営/高橋けやき・吉野夏怜

主催:うずめ劇場 制作:うずめ事務所 助成:芸術文化振興基金

【ストーリー】
古代ギリシャ、アテネの王妃フェードルは、先妻の息子で、自分よりもずっと年下のイポリットへ、道ならぬ激しい恋をする。
フランスで最も有名な、人間の心を突く古典悲劇の名作。うずめ劇場ならではの、社会における女性の悲劇性を顕在化した舞台。

【劇評】
うずめ劇場『フェードル』:翻訳劇を生き抜く演技の力/新野守広

 

― 演出家メッセージ ―

ハイナー・ミュラーの、悲劇についてのコメントが好きです。
人間が打ち沈む様子を観ることによって生きる力をもらえる。
それは助かる目的です。それなら、悲惨に目を向けてもいい。

「フェードル」は神話をモチーフにした作品です。

神話は、なかなか古くならない、人間についての見方です。どんな時代でも何か正しさが通じている。ただ自分の時代にどの正しさが通じるかは、気づかないといけない。新しく発見する必要があります。そのために試してみました。

ベルリンにあるドイツ座の「フェードル」のパンフレットには、こう書いてあります。
「この本は、一枚岩(monokith)だ」
今日、初めて演劇公演が行われるこのTAMという美術館も、ちょっとmonolithみたいですね。もう、まちがいなしです。

ところで私たちは来夏、この「フェードル」を野外でやるつもりです。ますはうずめ劇場のふるさと北九州のビーチで松明を掲げて。お盆には、神戸の五色塚古墳とか、飛鳥の石舞台とか、いいですねえ。

ありがとうを言わせてください。この演劇を手伝ってくれたすべての人たちに。
実はもう11年前ですが、私はせんがわ劇場の芸術監督として安藤ストリートの全体イメージ立ち上がる仕事に参加しました。とてもいい思い出です。
また、せんがわ劇場については、立ち上げ当時うずめ劇場の仲間たちが果たした仕事について誇りを感じています。費やした労力、時間は大したものでした。

今、私たちはTAMにいます。このストリートの中で、多分私が一番気に入っている場所です。今日だけでなく、また美術館を楽しむためにも、ぜひ愛を運んでください。

2018年10月 ペーター・ゲスナー 公演パンフレットより