贋の侍女 フェードル in 北九州

第30回記念特別公演

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「贋の侍女」作:ピエール・ド・マリヴォー 訳/佐藤実枝(岩波文庫より)
「フェードル」作:ジャン・ラシーヌ 訳/伊吹武彦(「ラシーヌ戯曲全集Ⅱ」人文書院版より)
2作とも 演出: ペーター・ゲスナー
上演日程: 2019年8月9日~2019年8月13日 計8回
会場:枝光本町商店街アイアンシアター、若松逆水浜海岸特設会場、北九州芸術劇場小劇場(北九州市)

cast:
「贋の侍女」後藤まなみ、荒牧大道、久礼悠介
(サルメ・カンパニー)石川湖太朗、西村優子、遠藤広太、小黒沙耶、遠藤真結子

「フェードル」後藤まなみ、山口恭子(W)、松尾容子(W)、荒牧大道
(サルメ・カンパニー)石川湖太朗、西村優子、遠藤広太、小黒沙耶

staff: 照明/兼子慎平・河上賢一、音響/望月肇・矢野肇郁、衣装/吉原顕乃、舞台監督/荒牧大道、ドラマトゥルク/藤澤友、宣伝美術/郡司龍彦、イラスト/内田春菊、記録/小田原敏幸

主催:うずめ劇場 制作:うずめ事務所 制作協力:谷瀬美紀(ピカラック) 助成:芸術文化振興基金
後援:北九州市・北九州市教育委員会、東田ミュージアムパーク実行委員会(北九州東田地区ミュージアムパーク創造事業)

1996に北九州市で誕生したうずめ劇場の、13年ぶりの北九州市凱旋公演。
うずめ劇場の本メンバー、ゲスナーが桐朋学園で育てた俳優たち、そして北九州市時代ゲスナー作品の中心的俳優として活躍した女優山口恭子を迎え、北九州市内3か所を廻って2作品を同時上演する特別企画。当時から応援してくれた人たちから、温かい支援を受けての公演となった。

協力:何有荘(かゆうそう)アートギャラリー、九州フィールドワーク研究会(野研)、藤原惠洋研究室、演劇作業室紅生姜、井上秀人歯科医院、正覚寺、中宿八幡宮、スタジオえぐち、白土医院、北原麻里、鮫島ゆかり、末次和也、深田稔、大塚恵美子、村田和代、島津智子、奥野政勝 ほかたくさんの皆さん

 

― 演出家メッセージ ―

「フェードル」は若い男を愛する人妻です。
フランスで最も有名な古典的な悲劇で、ギリシャ神話に題材をとった物語です。
愛の網に囚われた人が、そのたmに誰よりも強い情熱を発現する様子は、どこか現代離れしていて、どんな魔法かと思うくらいです。それにもかかわらず、私たちの作品の中のキャラクターは、あたかも同世代の人のように見えます。(私は思った:過去にはほとんど女王がいなかった、今日私たちはみんな小さい女王であり王子である・・・)

一方で「フェードル」は、人の美しさと悲劇を強調する古典演劇として残っています。そのような芸術劇を時々見るのは良いことでしょう。「贋の侍女」を書いたマリヴォーは“感情の交通混雑”とでもいうような様子を描きますが、現代の世界はそれ以上ですね。「フェードル」のように研ぎ澄まされた古典は、心を洗う気分になります。・

「贋の侍女」では、現代社会での現代的な行動のはじまりを示していると言えるでしょう(コメディ形式)。両方の作品を見ると、ふるまいが逆転しているのがわかります。「フェードル」では嘘をつくことよりも悪いことはありませんが、「贋の侍女」では戦術的な武器として活用されています。

マリヴォーは低いマナーを見せていると非難されましたが、彼はそもそも、路上で人々の対話を盗み聞きつつ創作に取り入れたのです。路上での人々の対話が、芸術的に創作された対話に比べ無価値だとは言えません。対話の芸術的な強さは、必ずしも階層に依存しないのです。トリブランとアルルカンは機知に富み、その心は親切で温かいです。(マンザイのシーンやトリブランについては後藤まなみが演出・指導しています。)

もう一つ言いたいことがあります。私は1993年から2006年まで北九州市に住んでいました。私を本当に愛しサポート本当にたくさんの人たちに感謝します。私は演劇作品でお返しをしたかった。私が表現できる最高の形式で。

2019年8月 ペーター・ゲスナー 公演パンフレットより