『平和』の劇評やアンケートからのご感想など集めました。
◆『ローマ喜劇』等の著作がある小林標様より、『平和』を10/17夜に観劇した感想を手紙で送っていただきました。一部抜粋して掲載させていただきます。
~前略~
当日の『平和』の上演を十分に楽しませていただきましたし感心もしました。この作品が持つ「反戦・平和」と言うメッセージ性は観客に十分に伝わったことと思います。まずそれを申し上げて、上演の成功をお祝いさせていただきたい。仮面劇という特質を活用して少人数の役者陣で多彩な人物を作り出せたことが成功の一原因です。それにまた、音楽も劇を盛り上げ人を楽しませる大きな要素でした。そして、現代人にとっては分かりにくい古い作品を現代化したドイツ語テキストがあったことがそれ以上にこの作の日本初上演を可能としました。このテキストを紹介してギリシア劇の価値を別の形で日本人に知らしめたうずめ劇場の功績は重大です。
ただ、原作が持つ古代ギリシアの歴史的事情の詳細の理解にまでは行かなかったかもしれません。それは難しいことです。アリストパネスのギリシア古典劇は、そのどれをとっても当時のギリシア、特にアテナイ市の現実の状況に密接に結びついているものでそれを知らずしては演劇としてその作品を楽しむことは難しい。それは私が書くまでもないことで、アリストパネス作品が過去に日本で上演されたのは多分『女の平和』だけでしょう。私はその上演を一度劇場で見ています。「反戦」という普遍的テーマを扱っていることのみならず、女性の性的ストライキという突拍子もない手段をそこに持ち込む作者一流の劇作方が、何事よりも日本人に対しての上演実現に貢献しました。
そのような特殊なアッピール性要素を含まない作品である『平和』の日本語上演は、今回のうずめ劇場の努力で初めて成し遂げられたのでした。その意義は称えられるべきであると私は強調したい。それを可能としたのは、現代人による改作です。私自身は今回の舞台を見る以外ではそのテキストの詳細は知りえない。私は原作の日本語訳(岩波書店ギリシア喜劇全集2の佐野好則氏訳)を読んだ上で出かけたので、読んだものの記憶と舞台上進行する言葉・行動とを組み合わせて理解しようと努めました。戯曲では舞台上にいると言及されてもセリフを持たない役、例えば今回の上演では「平和エイレーネ」、「春の喜び」、「秋の勤勉」とされる人物を舞台上に出して発言もさせる。また、原作ではユニゾンで発声させるコロスのセリフを個々の人物に割り振るテキストは話の成り行きを理解しやすくするものでした。『平和』というアリストパネス作品の日本初上演成功を改めてお祝いいたします。
大阪市立大学名誉教授 小林標(こばやしこずえ)
著書『ローマ喜劇』、『ラテン語の世界』など多数。今年か来年初めには新著『ローマ喜劇を読み直す』出版予定。
◆アンケートより
<10/17 14:00> ※アフタートークゲスト:小原ブラス氏、みっつん氏
- とても面白かったです。シアターカイも、うずめ劇場も初めてでした。
このサイズの箱で大きなおおがかりの装置でまず驚きました。
台詞が喜劇らしさと分かりやすさと劇的な部分と、面白く興味深く感じました。
平和をテーマとする作品は私も創ったことがあり、広島出身者としても興味深かったです。ベトナムでも成功をお祈りしています。広島でもやってほしい、制作やらせてほしいです。 - めちゃくちゃおもしろかったです!
観に来てよかったです。感動のあまり涙出ました。
演劇がこの世界にあってよかったと思います。
ベトナム公演もがんばってください。
<10/17 19:00>
- 初めて、演劇というものを見た気がします。
最初から最後まで、演出にびっくりしていたし、楽しむことができました。
そして、私にとって演劇を身近なものとしてとらえる機会をくださって、本当にありがとうございます。また来たいです。 - 演劇はたくさん見てきましたが、こんな舞台ははじめてでした。
演者と自分たちの境がどんどんあやふやになり没入してしまいました。
休憩のワイン、ごちそうさまでした。
<10/18 13:00> ※アフタートークゲスト:伊勢崎賢治氏
- 難しい「戦争と平和」誰もが幸せを願うけれど争いは絶えない。
それは個人レベルでもそうであり、それは大きな集団になっていけばいくほど終わりに向かえなくなる。争いたくない。血を流す・命を失う 遠い出来事であってほしい。
演劇はまた観たいです。2度3度と観るとまた違ってくる。
ベトナム公演の無事と成功を願っています。
ありがとうございました。クラファンで応援します。 - 2500年前の古代ギリシアに生きた人々も、現代を生きる私たちも、しょせん同じ人間なんだということを、じつにわかりやすく共感しうる物語として表現されていたことに深く感じ入りました。
後藤まなみさんの「imagin」浸み入るような響きがとても良かったです。アフタートークは、じつに意義深い話の応酬となっていました。伊勢崎さんの「戦争屋」という自己紹介が、なぜ戦争が世界で引き続き起こり続けるのかということの回答として際立っていました。たしかに私たちはおろかなのですね!! - 天上編、地上編のギャップが面白かったです。
政治家がこの劇を見ても多分理解できないと思います。 - とても含蓄がある台詞でした。戦争が目前に迫っているのに、人々は祭りに熱中している場面は意味深いと感じました。
隣のお子さんが、とても楽しんでいましたよ。
<10/18 18:00> ※アフタートークゲスト:藤原惠洋氏
- 東京以外の地方でも上演の機会があるとうれしいです。
「平和の反対は戦争ではない」→何も言えなくなりつつある日本、世界に不安がつのる日々です。 - とても楽しく観させていただきました!
今回は歌や楽器も多くノリノリになりました!
観客をまきこんでの芝居もおもしろく、新鮮でよかったです。またきますね。
◆「こりっち」にもたくさん投稿いただきました!
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